記者の目に留まるプレスリリースの書き方

メディアで取り上げられるニュースコンテンツの情報源として、企業などが発信するプレスリリースがあります。最近はインターネットの検索エンジンやプレスリリース配信サービスの発達などもあり、一般の読者の目にも触れるようになっています。新聞やテレビ、雑誌、ネットニュースなどのメディアの力を借りることで、情報発信力が飛躍的に高まるのが魅力です。

あの話題のニュースも、元をたどればプレスリリースから

プレスリリースとは、企業活動などを発表する文書です。新聞記者やテレビの番組制作者は、プレスリリースの情報をもとに、ニュースや情報番組などを企画することもあります。「ニューヨークで話題のチーズケーキ店が日本上陸」といったニュースや話題を見かけて、実際に足を運ぶ人もいると思います。こうしたメディアで流れるトレンドニュースなども、元をたどれば、プレスリリースであるということも珍しくありません。

情報発信はメディアだけではなくなっている

インターネットがなかった時代は、広報担当者がプレスリリースをメディアの事務所や記者本人に郵送やファックスで届けたり、手渡ししていました。このため、プレスリリースに書かれた「一次情報」は、メディアなど限られた人たちに読ませるものという性格が強かったと言えます。

しかし、今は企業のホームページを見れば誰でも、ニュースリリースを簡単に見つけられます。テレビ番組を見て、チーズケーキ店に興味を持った人が、もっと詳しい情報を見ようと、プレスリリースを検索することもあります。また、情報発信力のあるブロガーやユーチューバー、インフルエンサーなどもプレスリリースを参考にする機会もあり、プレスリリースの重要性はますます高まっていると言えます。

魅力的なプレスリリースで注目度アップ

メディアや読者の心を動かすために

プレスリリースが広く目に触れるようになったとはいえ、一般の消費者に見つけてもらうには、メディアのニュースに取り上げられることが効果的です。それには、メディアのコンテンツを制作している人たちの目に留まることが重要になります。

メディアで働く人たちは、読者や視聴者の心を動かす話題性の高い情報を常に探しています。注目が集まるコンテンツを発信することで、メディアの価値が上がるからです。メディア人の目に留まるプレスリリースを書こうとするならば、メディア人の立場に立って、ニュースを提供するという心構えが必要になります。

具体的に、どのような要素がニュース性、話題性を高めるのかをまとめています。

主なニュースの要素

新規性 何が新しいのかを示します。ニュースの基本です。
希少性 希少価値という言葉が示す通り、珍しいもの、手に入りにくいものなどはニュース価値を持ちます。
話題性 人気のあるもの、話題となっているものやサービス、人はニュース価値を持ちます。
社会性 社会課題の解決に貢献するものはメディアに取り上げられやすいのが最近の傾向です。
物語性 人の心を動かす体験、ストーリー性のある企業活動なども、メディアが求める情報です。

書き方には決まりはありません。プレスリリースを出す機会の多い企業などは、ひな形を決めておくと統一感が取れるうえ、効率的です。中小企業やスタートアップなど、ひとつひとつのプレスリリースに勝負をかけたい場合は、魅せるプレスリリースで注目を集めるのも効果的です。

タイトルにメッセージを込める

タイトル(見出し)は、プレスリリースの中で一番先に目を引きます。メディア人は多くのプレスリリースに目を通します。ニュースに取り上げられることが多い企業のリリースは一応目を通し、ニュースにするかどうかの価値を判断しなければなりません。しかし、その他のニュースリリースはタイトルだけ見て、リリースを読むかどうかを決めることも珍しくありません。

シンプルで、インパクトがあるタイトルが求められます。プレスリリースに込めたメッセージを伝える意気込みで、複数案を考えます。プレスリリースの発信者として、世の中に何を伝えたいのかを明確に示しましょう。

記者はリード文で書くかどうかを決める

タイトルで目を引いたプレスリリースを手に取った記者が、次に読むのはリード文です。こことで、内容を把握し、リード文を読んで内容を把握します。リード文でニュースにするかどうかを判断することが多いといえます。

リード文を書く際に気を付けることは以下の通りです。

・主語となる企業をわかりやすく紹介する枕詞をつける
有名な大手企業を除き、リリースで紹介する記事の主語を説明すると効果的です。

・専門用語や難解な文章構成は避け、分かりやすく書く
検索しないとわからない言葉の羅列は、コンテンツを作る側に余計な作業を課してしまい、良いリリースとは言えません。

・「何がどうした」の主語・述語中心で
明確に立証されている場合を除き、おおげさな修飾語を使うと、かえって信用性が疑われることになりかねません。「お買い得」など宣伝文句も逆効果です。事実を主語と述語で簡潔に示すほうが説得力が増します。

本文は書く人に親切な情報を満載

タイトル、リード文を読んで、ニュースや話題として取り上げることを決意したコンテンツの作り手は、本文を読んで記事を書いていきます。本文は、書き手に親切な有益な情報を盛り込むことが大事です。

あまりに情報が不足していると、作り手が自分で調べる作業が多くなってしまい、コンテンツ作りに時間がかかってしまいます。よほどニュース価値の高いプレスリリースを処理する場合は、記者もリサーチ作業を覚悟しますが、それほどでもない場合は、自分で調べたり、問い合わせる作業が多すぎることを理由に、後回しになってします恐れもあります。

書き手は、「5W1H」の要素を原稿に書きます。

「5W1H」とは?

  • 「When(いつ)」
  • 「Where(どこで)」
  • 「Who(誰が)」
  • 「What(何を)」
  • 「Why(なぜ)」
  • 「How(どのように)」

いちいち調べなくてもいいように、「5W1H」の要素をしっかりと情報を盛り込んでおくことが大事です。

また、企業の商品やサービスをテーマにしている場合は、メディアは読者や視聴者に伝えるべき情報として、必ず「How much(いくらで)」という価格が必要になります。価格などを記載できない場合は、その理由を記しておき、問い合わせの時の回答も用意しておくと良いでしょう。

記事の書き手の立場に立ち、自らもリサーチを

コンテンツの作り手としては、記事を書くときに、そのニュースがどれだけの価値があるものかが、読者や視聴者に伝わるように書いていきます。ところが、そのプレスリリースに取り上げられているテーマや関連する分野についての知識が乏しい場合も珍しくありません。

プレスリリースの書き手としては、メディアにどのように取り上げられるかを予測しているはずです。具体的には、プレスリリースのテーマと直接・間接的に関係する他社や業界の情報や海外での情報、テクノロジーの最新情報などです。プレスリリースを作る時点で、自らそのテーマに関するリサーチをしていると、内容の濃い、魅力的なリリースに仕上がるはずです。

リサーチ結果をリリースに記載しなくても、メディアから問い合わせがあったときに、どういう資料があるかを知っているだけで、メディアにとっては、ありがたい情報になるはずです。

まとめ

メディア側がプレスリリースで注目するのは、企業などの発信側が世の中に訴えたいメッセージです。そのメッセージを読み解いたうえで、記者が載せようとしているメディアやその読者・視聴者にとって、価値があるかどうかを判断するのです。

プレスリリースの書き手としては、プレスリリースの内容が、世の中の人にとってどのような意味があるのかを理解し、どのようなメッセージとして発信すべきなのかを考えることが重要になります。