文章を書くという作業は、自分が伝えたいことを理解してもらうことが目標です。SNSで自分の日常を記したり、学校や職場でレポートや提案書を書いたり…。どんな種類の原稿でも、読む人にとって、わかりやすく、すっと腑に落ちる文章力を身に付けると、毎日の生活がもっと楽しくなるはずです。
「何を書くか」テーマを見つけよう
文章を書くのが苦手と感じる人の中には、「何を書いたらいいのかわからない」「書くものがない」という理由を挙げる人もいます。どんなに熟練した文章のプロでも、何を書くかが決まらない限り、原稿用紙は真っ白なままです。
「テーマは自由」と指示されたレポートのほうが、難しいと感じる人は少なくありません。「なんでもいいから、とにかく面白いものを」と言われて、その期待に応えることができる人は相当のプロです。
文章を書くことに慣れている人にとっては、最初のテーマ決めが終われば、原稿の半分は出来上がったのと同じことです。テーマは、その文章を綴っていく目的です。自分が書こうとしている原稿を、
- 「誰に読んでもらうために書くのか」
- 「目的は何か」
などをよく考えます。
「どのように書くか」構想を練ろう
テーマが決まると、次はどのように文章を展開させるのか、構想を練ります。自分が書こうとしているテーマをさまざまな角度から考察し、現実に起こっている具体的なケースを調べてみるなど、テーマに広がりを持たせることが重要になります。
例えば、「地球環境問題」をテーマに書くとします。この場合、「地球環境を守ることは、とても大切である」という結論だけでは、原稿は一文で終わってしまいます。
「地球環境問題」をめぐって、どれだけ関連性のある話題を見つけられるかが重要になります。文章を書くのが得意でない人は、構想を練る段階でのリサーチが苦手と言う人もいるでしょう。図書館やインターネットで調べるにしても、どのキーワードで検索すべきかがわからない人もいるでしょう。
文章を書くのが上手い人は、原稿の構想がいくつも浮かんできます。このスキルは、一朝一夕では身につきません。
普段から、メディアで流れているニュースに関心を払い、たくさんの書物を読んで情報を持ち、「何が問題か、何が大切なのか」を自分の頭で考える癖をつけると、自然と身についていくものです。
「何を書き、何を書かないか」文章の構造を考える
書きたいテーマに関連するさまざまな情報が集まると、その中で、書くべきこととそうでないものを見極めることが必要になります。いいたいことを読者に伝えるために、どの情報を使えば、説得力を持たせられるか、理解や共感を持ってもらえるのかを考えます。
リサーチに労力を割いた場合、集めた情報をできるだけたくさん書き込みたい気持ちになります。しかし、情報を盛り込み過ぎたり、関係性が薄い情報が紛れ込んだりすると、読者にとってはかえって読みにくい原稿になる恐れもあります。読む人の立場に立って、情報の優先順位を付け、取捨選択をします。
使う情報を決めたところで、説得力を持たせる文章構造を考えます。先に結論を述べて、具体例を挙げて立証していくのか。起承転結で読ませていくのかを決めます。要素をバラバラに並べていくだけでは、読者は混乱してしまうので、文章の相互関係が分かるように、理論的に並べていきます。
「独自性の見せ場」読ませどころをつくる
流行歌のサビの部分や物語のクライマックスのように、その原稿の読ませどころを心がけると、読者に共感を持たれやすくなります。
- 読者を感動させるようなエピソード
- 読者の多くが知らなかった事実
- 読者が思わず納得してしまうような独自性のある理論や考え方
- 「へぇー、そうなんだ」と思わせる雑学
など、読者の関心を引き付ける情報を盛り込むことができると、読者が読んだ後に価値を感じられる質の高い原稿になります。
まとめ
話を聞いているとすごく面白くても、文章に書いたものになると、とたんにつまらなくなってしまうことがあります。話術と文章術は基本的に違います。
しかし、面白い話をできる人は、必ず面白い文章を書けるようになれるはずです。文章術は繰り返し書いているうちに上達するからです。
逆に面白い話が思い浮かばない人が、いきなり、多くの人をうならせる面白い文章を書くことはできません。話のネタや情報の中身は、これまでの人生の中で蓄積した経験や、読み聞きした知識や他人の経験などから生み出されるからです。
しかし、面白い話が思い浮かばない人でも、読む人に理解され、共感を持たれる文章を書くことはできます。書く経験を積み重ねることで文章力は高まります。文章力を磨けば、伝える力も高まります。