Webライティングの基本を身に付けよう

Webサイトを使って情報発信することが増えるにしたがって、web向けに原稿を書く機会も増えています。ライターやジャーナリスト、編集者など、文章制作に携わる人に求められるライティング技術やエディティング技術は、紙メディア向けであっても、web向けであっても、読者にわかりやすく、共感を呼ぶ文章を書くという文章の基本は変わりません。

読者に見つけてもらいやすくするには

読者にわかりやすい文章にするために、webライティングは多少の工夫が必要になります。インターネットを使って文章を発信することは、紙メディアを使うよりも敷居が低く、お金をかけずともwebに原稿を掲載しやすいといえます。

しかし、誰もが知っている有名なwebサイトでない限り、読者がその原稿と出会う確率はかなり低いと言えます(SNSで知人の書いたものを見つけるのは難しくないかもしれませんが…)。

webライティングに求められる特有の技術は、「読者に見つけてもらいやすくする」ためにどう書くかということです。検索サイトの上位に掲載されるにはどうするのか、また、たくさん並んだ検索結果の中から、自分が書いた原稿をクリックしてもらうにはどうすればいいのかいう配慮が求められるわけです。

不正コピーと判定されれば命取りに

ライティングのプロやプロを目指す人たちにとっては、まず、肝に銘じておきたいのが、コンテンツの独自性の確保です。紙メディアであろうが、デジタルメディアであろうが、ライティングをするときに、不正に他のサイトから情報を抜き出したり、他のサイトの記事をコピーすることは、あってはならない行為です。

コピー判定の自動化

紙メディアで情報の不正コピーがあった場合は、著作権を持つ側や第三者からの通報で発覚する場合がほとんどです。一方、webメディアの場合は、日々生み出される大量の情報をチェックしなければならないため、コピーされたかどうかの判定作業の多くが自動化されているのが実情です。

無名のwebサイトが多くの人の目に留まるには、自分が探したい情報に関して、Googleなどの検索エンジンでキーワードを入力した際に、自分のサイトの中にある記事などの情報が見つかりやすい位置にいることが大事です。

MEMO

つまり、自分のサイトや記事が人の目に触れるかのどうかの命運は、検索エンジンが握っていると言っても過言ではありません。サイト運営者は、検索結果を改善するために、SEO(検索エンジン最適化)などの取り組みに力を入れているのもこのためです。

一方の検索エンジン側は、大量のコンテンツをランキング化していますが、その中で不正なサイトを上位表示しないように、アルゴリズム(検索結果をランキング化するためのルール)を設けています。

このため、意図的にコピーしたかどうかにかかわらず、表現の似た文章の割合が多くを占めると、検索エンジン側は、「記事や他のサイトなどから不正にコピーされた可能性が高い」と判定してしまいます。

特に、ライティングを生業としているプロのライターや編集者は、コピーしたつもりはなくても、不正コピーと判定されてしまうと信用はガタ落ちです。コピペチェックツールなどを活用し、意図しない似た表現の乱発にも気を配る必要があります。

他のサイトからのコピーは絶対にNG

書き出しが勝負。テンポよく論理を展開

新聞、雑誌、書籍などの紙メディアは、読者が能動的に購入したり、手に取って読むメディアです。このため、読者がその記事、コンテンツを読むかどうかを決めるには、時間的に余裕があります。

これに対し、それほど知られていないwebメディアに掲載されているコンテンツは、ネットサーフィンをしているうちに偶然出会ったコンテンツがほとんどです。検索結果からタイトルに惹かれてクリックしてもらったチャンスをものにするのは、書き出しです。

記事を読むかの判断は一瞬

ページを開いて、その記事を読むかどうかを判断するのは一瞬です。最初の一文で、その記事のトピックをすべて言い表すぐらいの覚悟で臨みます。

読者の興味を引き付けることに成功したら、後はテンポよく、論旨を展開していきます。読者が理解するのに時間がかかり、論旨の展開に違和感を持ってしまう文章は避けます。論旨の流れに疑問を持たれてしまうと、その記事から離脱される可能性が高いからです。

難しい漢字や専門用語もなるべく避けます(専門的な読者を想定している場合は、専門用語を言い換えた言葉が稚拙であると逆効果なので注意が必要)。コンテンツを読んだ後に、その結論についていろいろと考えさせるのは良い原稿ですが、読み進めるために無駄に頭を使わせてしまうコンテンツは駄文です。

最後まで読んでもらう方法「結論をどこに置くか」

Webサイトの中には、企業のブランドサイトやコンテンツマーケティングとして活用しているものや、ECサイトなど様々な種類があります。同じように収益を目的にしているサイトでも、広告収入なのか、コンテンツを売るのか、買い物をしてものかなど、最終的な成果(コンバージョン)も様々です。

しかし、共通して言えることは、コンテンツを最後まで読んでもらい、満足してもらうことは、それぞれのコンバージョンに向けての最初の一歩として大事です。

滞在時間も重要

サイトを評価する軸として、閲覧する数と並び、どれだけの時間滞在してもらえたかも重要です。滞在時間が長いほど、コンテンツに関心を持ってもらえていると評価されます。つまり、インターネット上の膨大な情報の中で、コンテンツを見つけてもらっても、すぐに離脱されてしまうと、サイトの評価も高まりません。

ライター、編集者としての役割は、自分たちが作った原稿を少しでも長く読んでもらうことです。書き出しで、興味を持ってもらうことの重要性には触れましたが、それでは結論はどこに置くのが良いのでしょうか。

テレビのバラエティ番組で、司会者が「答えはCMの後で」というフレーズを連発し、結論を先延ばしして、少しでも長く番組に興味を引き付けようとする手法があります。これが上手くいくのは、視聴者が結論を知りたいと強く思う場合です。

つまり、webライティングの場合も、最後に結論をもっていくのは、読者のテーマに関する興味が高く、「どうしても結論が知りたい」と強く思っている場合だけです。

もちろん、そのようなコンテンツもあるでしょう。しかし、それほど関心が高いトピックでない限り、リード文の中で、結論についても触れておくのが無難です。

MEMO

結論をわかった上で長く読ませるには、読者の共感を呼ぶエピソードや、「なるほど」とうならせる論理展開、「そうだったのか」と思ってもらえる裏話など、読ませる文章をどれだけ詰め込めるかが決め手になります。

まとめ

Webライティングも紙メディア向けのライティングも、ライティングの基本技術は同じです。しかし、紙メディアについては、読者が販売店や通販で能動的に入手しているのに対し、大手メディア以外の大半のwebメディアは、能動的に読んでいる読者よりも、検索エンジンで偶然出会う読者のほうが圧倒的に多いと言えます。

こうした偶然の読者に、自分の原稿をアピールできるのは、webライティングの醍醐味です。それには、以下のポイントを意識することが大事です。

  • 検索エンジンで見つけてもらいやすくすること
  • 検索結果のページでクリックしてもらえること
  • 最初のページで「読んでみよう」と思わせること
  • 離脱させないため、無駄に読み疲れさせないこと
  • 「なるほど」と思わせる要素を埋め込むこと

このほかにも、グラフィックや写真、動画などを使って、アイキャッチを高めたり、理解を深めてもらうような工夫も必要になります。