企業や役所、NPO(非営利組織)など、さまざまな団体や個人がwebサイトを運営し、自分たちの商品やサービス、社会的な活動をPRしています。サイトに掲載される記事コンテンツが、これらのサイトを訪問するきっかけとなることがあります。検索による記事コンテンツとの出会いを演出するのが、それぞれの記事につけられた見出し(タイトル)です。
タイトルはクリックの判断材料に
見出しは、ひと目で記事の内容が推測できる「看板」のようなものです。新聞では、駅売りスタンドに各紙の1面の見出しが並び、それらを見比べて新聞を買う人がいました。ある新聞の記事を読むかどうかは、見出しに左右されると言っても過言ではありません。
見出しの重要性は、webサイトでも同じです。Webの記事で、トップにある見出しのことを「タイトル」と言います。タイトルは、検索結果のリストに表示されるので、リストのタイトルを見比べて、その記事をクリックするかどうかの判断材料となります。
デジタル媒体向けに原稿を書く機会がある人にとって、インパクトのあるタイトルや見出しの付け方を理解していると、自分が書いたコンテンツの価値を大きく高めることにつながります。
見出し・タイトルの効果的な付け方
見出し・タイトルの基本は、短い言葉で必要な情報を伝えることです。コンテンツのダイジェストの役割を果たすものなので、読む人の目を引き、誰もが理解できる言葉を選びます。
新聞の見出しの付け方を学びたい方はこちら▼
見出し(タイトル)の付け方を新聞から学ぼう
オーガニック検索結果を意識する
SEOとは、Search Engine Optimizationを略した言葉であり、検索エンジン最適化を意味します。
検索結果を示す画面に表示されるURLのリストのうち、リスティング広告のような広告枠を除く部分のことをオーガニック(自然)検索といいます。このオーガニックな検索結果のなかで、上位に表示されることを狙うさまざまな方法のことを、SEO対策と言います。
SEO対策にはウェブサイトの構成を調整するなどさまざまな手法があります。Webマーケティングの関係者の中では、それぞれの記事コンテンツの見出し(タイトル)を工夫することによっても、上位表示が狙えるのではないかと考えられています。
キーワードは何か、どの言葉を使うか
見出し・タイトルを付けるときに、記事の内容を最も端的に表すキーワードを使うように心がけます。見出し・タイトルは、記事のダイジェストなので、そのキーワードを見ると、記事内容が思い浮かぶような相関関係があると望ましいと言えます。キーワード選びが適切であると、SEO対策としても効果があるとされています。
誰に読ませたいのか、ペルソナを意識する
ECサイトにしても、企業の商品やサービスの訴求を狙ったマーケティング用サイトにしても、どんな人に読んでもらいたいかを意識する必要があります。読んでもらいたい人のことを、マーケティング用語でペルソナやターゲットと言います。
〇〇ホテルの紹介記事を例に、見出しの付け方を考えてみましょう。この記事を誰に読ませたいのか、ペルソナを想定すると「夏休みにペットの犬を連れて泊まれる宿を探している愛犬家のファミリー層」となったとします。
この一家は、夏休みにペット同伴で泊まれる宿に関する情報を探しています。インターネットで検索するとしたら、「犬」「一緒に泊まれる(同伴)」のキーワードで探すでしょう。また、軽井沢でテニスを楽しむことが決まっている一家は、「軽井沢」という場所に関するキーワードも検索に入ります。
こうしたことを考えると、記事のタイトルや見出しの中に盛り込みたいキーワードとして考えられるのは、「犬」「ホテル」「軽井沢」「ペット同伴」が有力候補になり、以下のような見出し・タイトルを考えます。
例:「愛犬と軽井沢で夏の思い出づくり 〇〇ホテルは10室のペット同伴部屋」
ターゲットを意識し、「尖った情報」を
新聞やテレビ、インターネットなどさまざまなニュースメディアの報道は、出来事を取材し、広く知らせることを目的にしています。公的な役割も求められるため、記事を書くときや、見出しを付けるときも、特定の誰に知らせたいのかを考えるよりも、より多くの人のためのコンテンツや見出しを考えます。
これに対し、ECサイトや企業のオーンドメディアは、ペルソナやターゲットを意識した「尖った情報」を必要とするケースが多くなります。さまざまなメディア向けに書く機会があるライターや編集者は、メディアの特性によって、記事の書き方や見出しの付け方が違うということを心得ておく必要があります。
「何を訴求したいのか」を意識する
ケース1の記事の場合、〇〇ホテルのサービスで何を訴求したいかによっても、見出しやタイトルの付け方やキーワードの選び方は変わってきます。
例えば、「一泊2万円から」という価格が、他のペット同伴ホテルに比べて訴求すべきポイントだと仮定します。価格競争力やコストパフォーマンス(コスパ)が売りであるので、その価格を見出し・タイトルに入れると、読者の目を引きます。
例:「愛犬同伴ホテルが一泊2万円から 軽井沢で夏の思い出づくり」
主観的に伝える場合も、なるべく具体的な言葉を選ぶ
ケース1で価格を売りにしたい場合、「安い!」と言う表現を直接的な言葉にして伝える方法があります。サイトのオーナーによっては、直接的な表現を好むケースもあります。
しかし、一般的に、「安い」「お買い得」などの主観的な言葉を入れてしまうと、かえって信頼性を損ねる恐れもあります。
価格競争力やコスパを訴求したい場合も、直接的な表現を避け、なるべく具体的なキーワードを盛り込み、事実に基づいた言葉の力で、読者に訴えていくほうが、説得力があると言えます。
まとめ記事の場合、読むメリットを
情報サイトなどでよくある「まとめ記事」の場合、この記事を読むと、何がわかるのか、という読者にとってのメリットを見出し・タイトルで伝えることを心がける必要があります。
例:「愛犬と泊まれるおすすめホテル10選」
見出しで答えを出さずに、記事を読ませる方法の是非
プラットフォーマーが提供するニュース記事の見出しで、問いかけやなぞかけで終わっているものを見かけることがあります。
例:「C選手がマラソン日本新記録を出せた理由」
この見出しを見て、記事の中身に関心を持ち、クリックする読者はいるでしょう。
例えば例の回答が、前足部で着地する「フォアフット走法」であるとします。ニュース記事が出た当初は、「フォアフット走法」を知る人も少なく、この見出しをクリックして、記事を読み「へぇー、そうなんだ」と納得することが期待できます。
しかし、「フォアフット走法」と言う言葉がある程度浸透し、「フォアフット」のことを検索エンジンで調べようとする読者が増えてくると、見出し・タイトルに「フォアフット」のキーワードがないのはSEO対策としては弱いということになってしまいかねません。
謎かけの見出し・タイトルは、発信力のあるニュースメディアなどでは効果的ですが、オーガニック検索を狙う情報サイトの記事の見出しでは、しっかりと関心のある言葉を盛り込むほうが賢明です。
しかも、「フォアフット」で検索する人が増えてくると、「フォアフット」がキーワードとして重要度が増します。「フォアフット」を見出しの目立つ位置に置くように工夫します。
キーワードは最初の部分(左側)に置く
例えば・・・
「C選手のマラソン日本新記録を実現した驚異の走法『フォアフット』」
とするよりも、
「驚異のフォアフット走法 C選手のマラソン日本記録を演出」
とした方がクリックされやすくなる可能性があります。
検索結果のリストの中では、気になるキーワードが最初の部分(左側)にあるほうが、目立つと考えられるからです。キーワードが最後の部分(右端)にあると、すべてが表示できないほど長い見出しの場合は、「…」で隠れてしまう恐れさえあります。
記事の内容と一致した、的確な見出しを考える
インパクトのあるタイトルや見出しを付けても、それが記事の内容と一致していなければ、コンテンツの価値を高めることにはなりません。検索結果の上位に位置することができ、クリックされたとしても、求めている内容と違っている場合、読者はその時点で読むのをやめる可能性が高いからです。
マーケティングを目的にしているサイトでは、オーガニック検索によって、記事を見つけて、サイトを訪問してもらい、サイト内の様々な情報を読んでもらうことが大事です。
見出しで読者の関心を高めたにもかかわらず、すぐに離脱されてしまうということが繰り返されてしまうと、サイトやコンテンツの価値をかえって下げてしまうことにもなりかねません。
見出しやタイトルはコンテンツの「看板」です。見出しやタイトルが、読者が「自分の求めたいたものに出会える」きっかけとなれば、コンテンツの価値は高まります。
まとめ
見出しやタイトルはコンテンツの「看板」であり、「ダイジェスト」です。インターネットにたくさんあるコンテンツの中から、どうすれば、見つけてもらいやすくなるかを考えます。
- 読者の目を引くキーワードを選び、見出しやタイトルに盛り込む
- 何を伝えたいのか、誰に伝えたいのかを決める
- あれもこれも言葉を盛り込み過ぎると、インパクトは薄れる
- 主観(自分の意見)を出したいときは、事実に基づく言葉で表現する
- 謎かけで終わるよりも、気になるキーワードを盛り込んでおく
- キーワードは目立つように、見出しの最初の位置(左側)に置く
- 思わずクリックしてしまうユニークな見出しを付けられる感性を磨く
インパクトのある言葉を思い浮かべられる感性を磨くのは、そう簡単ではありません。テレビ番組やCMのキャッチコピーや新聞、雑誌の見出しなどを普段から気にかけ、言葉使いの参考にすると効果的です。