コンテンツマーケティングに使えるライティング技術

企業が自社で発行する広報誌やパンフレット、インターネットの自社のwebサイトなどをオウンドメディアと言います。中でも、webサイトのオウンドメディアを軸にした「コンテンツマーケティング」に力を入れる企業が増えています。コンテンツマーケティングに使えるライティング技術を身に付けておくと、ライターとしての仕事の幅が広がります。
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コンテンツを拡散させる方法を知る

コンテンツマーケティングでは、どのような方法でコンテンツを読者に届けるのかを知っておくと、必要なライティング技術もイメージしやすくなります。コンテンツマーケティングでは、オウンドメディアに掲載するコンテンツをさまざまなチャネルを使って、読んでもらいたい人たちに届けていくことが重要になります。

検索エンジンからの流入を意識する

コンテンツマーケティングの典型的な拡散の方法として、検索エンジンからの流入があります。SEO(検索エンジン最適化)に注意を払ったコンテンツを作成し、検索エンジンでそのコンテンツを見つけやすいように工夫します。

検索エンジンからの流入は、そのコンテンツに書かれている内容について、知りたい人が自ら探して来てくれるので、意識の高い読者(見込み客)を集める効果が期待できます。

メールやSNSを活用したプッシュ型の情報提供

また、メール配信や、ソーシャルメディアにコンテンツを投稿するなど、プッシュ型の情報提供で拡散を期待する方法があります。メルマガなどのメール配信の場合は、質の高いメールアドレスの収集が大事で、SNSの場合は、フォロワーの獲得が決め手となります。

他のメディアを活用した広告による情報提供

見込み客が集まるメディアを狙って、広告によってコンテンツを届ける方法もあります。検索エンジンによる集客は、コンテンツが読者に認知されるまでに時間がかかります。また、メール配信やSNSは読者の獲得に時間がかかります。

これに対し、広告の最大のメリットは、時間をかけずに、見込み客にリーチできることです。しかし、高い効果を求めれば求めるほど、広告掲載に伴うコストも高くなります。

コンテンツマーケティングに求められる記事の種類

コンテンツマーケティングの主な拡散手段は、検索エンジンによる流入です。その分野に興味がある人が、その興味のキーワードを検索エンジンに入れ込んで、探してくれるだけに、意識が高い見込み読者と出会える可能性がありますが、デメリットとして、コンテンツの存在を知ってもらうまでに時間がかかる恐れがあります。

つまり、流行りすたりがあったり、時の流れとともに状況が大きく変わってしまうものよりも、いつ読んでも、ためになる情報であることが求められます。安定的に役に立つコンテンツが求められるわけです。

検索を期待する記事は、なるべく日持ちするものを探そう

トレンド情報はプッシュ型で発信

これに対し、最新のテクノロジーの情報や期日のあるイベントのお知らせなどは、プッシュ型の情報発信が有効です。伝えたい相手のメールアドレスが揃っている場合は、メルマガで発信します。すでに、フォロワーが充実していれば、SNSへの投稿も効果的です。

定番は課題解決型のコンテンツ

インターネットで情報を収集している読者が、どんなコンテンツが読みたいのか、読者の立場に立って考えてみます。ニュースサイトなどは、新しい情報、驚きの事実などを配信します。この場合、読者はSNSやポータルサイトでホットニュースを見つけ、興味があるので読んでみたり、ニュースサイトを訪問するケースが多いです。

これに対し、企業のオウンドメディアを訪問するケースは、読者が何らかの悩みや解決しなければならない課題を抱えていて、必要な情報をインターネットの中から探すケースが多いです。

つまり、キーワードで検索して、検索エンジンに表示されたリストから、役に立ちそうなコンテンツをクリックします。これが、見込み客と企業の出会いの場となるわけです。

MEMO

その時に、自分が探していた情報がちゃんと載っている記事であれば、最後までしっかり読んでくれるはずです。

さらに、「サイト内でもっと役に立つ情報があるかも」と読者が期待して、他の記事も読んでもらえるかもしれません。読者の期待に応える課題解決型のコンテンツは、オウンドメディアのコンテンツの王道です。

探し当てたコンテンツが、目当てのものであれば、読者の好感度は上がる

その反対に、課題解決型のコンテンツを見つけた読者が、「面白そう」「役に立ちそう」と思ってクリックしたのに、中身が予想と違っていたり、文章表現が分かりにくかったり、具体的な例に乏しく参考になりそうにないと感じてしまうと、読者はすぐに離脱してしまいます。

ペルソナを意識した「刺さるライティング」

コンテンツマーケティングの原稿を書くときは、コンテンツマーケティングによって、企業が何を狙っているのかを理解して書くことが大事です。

コンテンツマーケティングでは、顧客がその会社の商品やサービスに出会うきっかけを作ることを目的にしています。

そのために、顧客になりうる読者に対し、価値のあるコンテンツを提供することで、その会社の商品やサービスへの理解を深めてもらったり、会社や商品・サービスに愛着を持ったファンになってもらうことを目指しています。コンテンツマーケティングの原稿を書くときは、潜在顧客の心に刺さるような書き方を意識します。

潜在顧客、「ペルソナ」を意識

企業のマーケティングでは、商品やサービスを買ってもらいたい顧客像を具体的に描きます。性別や年齢、職業、収入、趣味などを設定した架空の顧客像を「ペルソナ」として設定するのです。

このため、コンテンツマーケティングのコンテンツを作るときは、ペルソナが関心を持つ内容を選び、ペルソナに伝わる表現を意識します。

出会いの場の演出に気を配る

コンテンツマーケティングでは、会社の商品やサービスと顧客の出会いの場を演出する役割を期待されています。しかし、その演出方法については、運営会社の方針によって大きく違います。

広告の場合は、商品・サービスを直接的にアピールしますが、コンテンツマーケティングでは、顧客の悩みに耳を傾け、その悩みの解決方法として、最終的に自社の商品・サービスを紹介するという演出方法が主流です。

ケース1
例えば、省エネ家電の場合を考えます。

広告では、「A社のエアコンは消費電力を押さえ、毎月の電気代が10%削減」と表現するとします。しかし、同じ会社のコンテンツマーケティングでは、以下のようなコンテンツを求められる場合もあります。

・「賢い家計節約術」省エネ家電に買い替えた場合と古い家電を使い続けた場合の家計負担を試算

要するに、A社のエアコンを売るという目的は同じでも、夏場の電気代を節約したいペルソナに興味を持って読んでもらえるコンテンツを考えます。

または、商品・サービスを紹介するのではなく、その会社やブランドに愛着を持ってもらうことが目的という場合もあります。

ケース2
会社やブランドに愛着を持ってもらうことを目的にした場合。

このような場合は、地球温暖化の深刻さを啓蒙したり、地球環境保護へ向けたテクノロジー開発の舞台裏を紹介するなどの企画も考えられます。

・地球温暖化を防げ!A社の省エネ家電開発

原稿の依頼を受けたライターとしては、クライアント企業の意向を理解し、指示にも従って、テーマや表現方法を考える必要があります。

キーワードを意識し、言葉を選ぶ

コンテンツマーケティングは、検索エンジンを使って、キーワード検索した人たちをファンにしていくことが大きな目的です。このため、同じ意味の言葉でも、検索エンジンでどの言葉を選んでいる人が多いのかを、キーワード検索ツールなどを使って調べることも大切です。

例えば、「省エネ」と「エコ」は同じような意味の言葉ですが、どちらの言葉がよくつかわれているかを知り、見出し・タイトルなどにどのように生かすかを検討します。

SEOに強く、クリックされる見出し・タイトルについて知りたい方はこちら▼
SEOに強く、クリックされる見出し・タイトルとは

まとめ

コーポレートサイト以外に、オウンドメディアを活用する企業が増えています。自社の情報発信機能を持つことで、潜在顧客との接点を増やすことができるからです。

オウンドメディアを軸にしたコンテンツマーケティングは、広告だけに頼らない企業の新たなマーケティング戦略として、今後も進化していくことが予想されます。これに伴い、クライアント企業と読者の橋渡し役として、ライターの仕事も多様化していくでしょう。