小・中学校や高校のPTA活動で、広報委員に選ばれると、PTA新聞やPTA広報誌をつくる仕事が待っています。でも、新聞作りは初めてという委員が大半というケースがほとんどです。前年のメンバーから、仕事の引継ぎは受けられますが、それでも不安という委員が多いのが当たり前。でも、作り方の基本を押さえれば、案外簡単に楽しい新聞作りができるはずです。
PTA新聞が完成するまでのスケジュールを知ろう
新聞作りの初心者にとっては、これから何をしたらいいのか、右も左もわからず、不安になってしまいます。あらかじめ、新聞を作るために何が必要で、どのような順番で作業をするのかをざっと理解し、新聞ができあがるまでのおおまかなスケジュールを知っておくと心強いです。
PTA新聞ができるまでの流れ
例えば、PTA新聞を7月と12月の年2回の発行する場合、それぞれの作業期間は約3か月です。7月発行号は春の体育祭や教員紹介などの定例の記事をつくります。12月発行号は、秋の文化祭や修学旅行などがメーンです。企画ページは、「進路についてのアンケート」や「図書館にあるおすすめの本」などです。
企画会議で大まかな方向性を決める
PTAの役員に選出され、広報委員になったら、顔合わせの会議や企画を考える会議でPTA新聞の発行回数や、各号に載せる企画(特集)ページのテーマなど全体的な方向性を決めます。
前年のPTA新聞を参考に、職員紹介やPTA役員紹介などの決まりもののページを把握し、自由に企画を設定する特集ページに載せる記事を考えます。前年を踏襲すれば、手堅くまとめることができますし、自分たちで工夫を凝らした企画を考えることもできます。
- 子供たちのためになる情報
- 保護者の関心が高い情報
- 体育祭や文化祭など学校行事に関連した情報
- ニュースで話題になるような社会的な問題に関する情報
- 多くの人が共感しそうな「あるある」情報
企画会議は、何の準備もなく話し合うと、良いアイデアが出にくいものです。事前に各自がアイデアを考えて、会議の場で発表するようにしましょう。雰囲気を和らげるには、まずは少人数のグループに分かれて、雑談を交えながら、本音で話すようにしましょう。
イベント取材を成功させるための準備
新聞をつくるためには、情報を集めなければなりません。そのための作業が取材です。キーパーソンに会って、インタビュー取材することもあれば、学校行事など現場で起こっていることを目撃し、記録する取材もあります。
取材を効率よく進めるには、事前の準備が必要です。例えば、体育祭などの学校行事の記事を書くための取材の前には、プログラムをしっかりと把握することが大切です。
具体的には、イベントがどのようなスケジュール進行するのか、具体的な出し物を把握します。写真映えする「絵になる出し物」は何か、話題性のある出し物は何かなどを把握しておくと、取材力をその時に集中させることができます。
イベント取材では、当日のプログラムとともに例年の大会を参考にして、おおまかな流れを把握しておきます。予定が頭に入っていると、取材活動の強弱がつけられます。想定外のハプニング(例えば、生徒の発言がとても感動的で、会場の多くの人が涙したなどのエピソード)が起こって、それを記事にしなければならない時も、予定を押さえておくと行動がしやすいものです。
インタビュー取材を成功させるための準備
インタビュー取材の場合は、インタビューをする相手にも、どのような話をしてもらうかをイメージしてもらう必要があります。インタビューを受けることに慣れている人は別ですが、インタビュー会場で突然さまざまなことを聞かれても、スムーズに答えられる人はそうはいません。
事前に質問内容を準備し、前年の記事などを参考に記事の出来上がりのイメージを伝えます。質問内容は箇条書きにして、事前に渡してあげると、相手は答えを準備してくれることが期待できます。
質問内容の答えが、その記事の骨格になります。予定調和の回答だった場合は、スムーズに記事が書けます。反対に、その答えの中で、自分が心を動かされた言葉や、予想外の回答などが出ると、インタビュー記事のトピック(読ませどころ)となり、躍動的な記事が書けるでしょう。
学校長やPTA会長などにあいさつ文の寄稿をお願いする時は、何をテーマに書くのか、締め切りはいつか、字数制限などについてあらかじめ決めて置き、前年掲載されたあいさつ文の記事をつけて、渡しておきます。締め切りが近づいてくる時期にあわせ、進捗状況の確認とともに、リマインドしておくと安心です。
記事の書き方で気を付けるべきこと
新聞記者が記事の原則を守るために意識しているのが、「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」という「6つの要素」です。それぞれの英語の疑問詞の頭文字を取って「5W1H」と言います。
- いつ(WHEN)
- どこで(WHERE)
- 誰が(WHO)
- 何を(WHAT)
- なぜ(WHY)
- どのように(HOW)
もうひとつの新聞記事の特徴は、結論を先に盛り込んだり、重要な要素から順番に書いていく「逆三角形」の文体です。また、一文はなるべく短く、簡潔に。接続詞の多用も避けましょう。
文章力をつける方法を知りたい方はこちら▼
PTA新聞では、新聞記事を書いたことがない人たちの原稿を編集するので、メンバーの間で、「です」「ます」調なのか、「である」調なのか、また、用語の統一などについて確認しておきます。こうしたルールは、前年の広報委員会からの引継ぎがあると思いますので、それをベースに自分たちで必要だと思ったことを書き足していきます。マニュアル確認の作業を怠ると、後で用語を修正していく作業が面倒になるので、要注意です。
新聞は見た目が命
どんなに良い記事が載っていても、レイアウトや写真、見出しなどのアイキャッチが共感されないと、多くの人を引き付ける新聞にはなりません。記事や写真の素材が揃ったところで、編集会議を開き、どのような紙面をつくるかについても、意見を出し合いましょう。
写真
PTA新聞で使う写真はどうしてもスナップ写真が多くなります。動きのあるイベントや修学旅行などの観光地を撮影する場合、構図や躍動的な表情、ポーズなどにも配慮して撮影した写真を加えると、紙面にアクセントを加えることができます。
レイアウト
紙面のレイアウトに工夫を加えると、インパクトのある新聞ができあがります。写真素材を複数使うページでは、大きさや切り方を変えて強弱をつけることが大事です。
見出し(タイトル)
新聞記事は、見出しとリード文を読めば、大体の内容が分かるような作りです。見出しが面白ければ、記事を読む人が増えるはずです。新聞やテレビ、雑誌などの見出しを参考にして、インパクトのある見出しをひねり出してみましょう。
見出しの付け方を知りたい方はこちら▼
ミスを逃さない校正の基本
PTA新聞は、学校関係者の思い出に残る記念の新聞です。どんなに、凝った新聞であっても、致命的な間違いがあっては台無しです。もっとも間違ってはならないのは固有名詞、中でも人名です。
PTA新聞のミス撲滅のために大切なのは、学校から正式な名簿を入手し、何度も突合せすることです。顔写真と名前があっているかどうかは、担任の教師の協力も得て、しっかりと確認しましょう。また、PTA新聞の場合、個人情報保護の観点から、顔写真の公表を望まない生徒もいます。学校側が把握しているケースは、しっかりと確認しましょう。
校閲のコツを知りたい方はこちら▼
まとめ
PTAの役員の中で、広報委員会は仕事が多いので「一番なり手がない」と言われています。しかし、みんなで力を合わせて、一つのメディアをつくり上げる作業を通して、子供が卒業した後もつながりを保つケースも珍しくありません。
どうせ、苦労の多い作業であるならば、生徒や保護者の心に焼き付く良いPTA新聞をつくるよう、積極的に取り組みたいものです。