書くことが大好きになる!読書感想文の楽な書き方

最近は宿題を出さずに、子供たちの自主性を育てる学校の教育法も注目されていますが、宿題はなかなかなくなりません。夏休みなどの長期休暇の宿題では、読書感想文など書く作業が多く課されます。子供たちに有意義な休みを過ごさせるには、書く作業が苦にならないように、好きになってもらうことが大事です。

読書感想文を書くことで何を学ぶか

読書感想文を書くには、本を読む力が求められることは言うまでもありません。読書感想文の課題で養われるのは、読書力です。さまざまな本との出会いが、子供たちの感性を磨き、ものを考える力を養います。

一方で、読書があまり好きではない子供たちもいます。そして、読書好きの子供たちだけでなく、読書が苦手な子供たちも、読書感想文の課題に取り組まなくてはなりません。そういう場合は、本を原作にした映画や漫画を探してみるのも有効です。

とりあえず、読書力を高めることは置いておくとして、子供たちに自分が関心のある「物語」に触れてもらうのです。関心のある物語を描いた「映画」や「テレビドラマ」、「マンガ」「アニメーション」に触れることを通じて、日常生活の中で起こるさまざまな事柄に対し、自分の考え方を持つことができれば、読書感想文の課題を充実したものにできます。

MEMO

夏休みの課題としての読書感想文は、戦争の悲惨さを訴える本を読んで自分の考えを表現するケースが多いです。いきなり本を読むことはハードルが高い子供にとっても、戦争を題材にした映画やアニメーションを見てから、原作本を読むとストーリーが頭の中に入っているので、読書のハードルは下がるはずです。

読書感想文を書くときのパターン

読書感想文の書き方には、決まりはありません。学校の先生の指示がある場合は、そのルールに従って書くようにします。とはいえ、何をどのように書いていいかがわからないという子供たちのために、オーソドックスな書き方を紹介します。

STEP.1
あらすじを書く
まず、本のあらすじを書きます。自分が選んだ本を読んだことがない人でも、読書感想文の内容を理解できるようにするためにあらすじを紹介します。このため、あらすじはなるべく簡潔にすることが重要です。
STEP.2
感想を書く
続いて、物語を読んで感じたことを書きます。あらすじの中で、強く心を打たれた部分に焦点を当てると書きやすいです。その時の主人公やその他の登場人物の言葉や行動について、どう感じたのか、「自分と比べてどうなのか」という視点を入れます。共感したのか、それとも共感できないのか、自分だったらこうするなど、さまざまな展開が考えられます。
STEP.3
物語からの学びを書く
最後に結論として、自分が読んだ本から何を学んだのかを書きます。物語から得られた教訓を書きます。
MEMO

ここで紹介しているのは、物語に関する読書感想文ですが、本にはさまざまな種類があります。実際にあった出来事をもとに物語を仕立てているものや、実際にあった出来事を記録している「ルポルタージュ」などもあります。筆者の考えが書いてある本では、筆者への手紙という形で読書感想文を書いてみるのも面白いです。

「書けない」という子供には、まずは対話から

子供たちの中には、本を読んでも、ストーリーが頭の中ですぐに整理されない場合があります。そういう場合は、いきなり原稿用紙に何かを書こうとしても、難しいものです。本から得た文字情報が、子供の頭の中で映像として浮かび上がるようにサポートしてあげると、物語のイメージが湧きます。

そのためには、以下のような対話をすると、頭の中が整理されやすくなります。

「どんな話だったの?」

本のあらすじを聞きます。すぐに答えが返ってくる子供は、本を読むことに慣れています。普段から本を読んでいない子どもは、あらすじをつかむのが苦手です。物語の展開を思い出しやすいように、ひとつひとつ聞いていきます。

「どこの場面で心を動かされた?」

本を読んで一番感動した場面を聞きます。この部分が感想文の骨になります。「どこで感動した?」と聞いても、「別に」という気のない返事だった場合、あらすじをつかめていない可能性があるので、もう一度、あらすじを整理してあげると良いでしょう。

「悲しかった?」「楽しかった?」「どこがすごいと思った?」

感動した場面を聞いたら、どのように心が動かされたのかを聞きます。もし、その場面で悲しかったというなら、どうしてなのかを聞きます。そうすると、子供との日常生活において、子供の気持ちを聞くときと同じ要領です。

もし自分が主人公だったら?

自分が物語の主人公と同じ立場になったら、どうするのかを聞いてみます。なるべく具体的に聞く方が、対話が上手く進行します。例えば、感動した場面において、「自分が主人公だったら」「関係する登場人物だったら」と聞いてみます。

この本から何を学んだのか、これからの毎日の生活でどう生かす?

ここまでくると、この本について、子供とかなり多くの対話ができているはずです。最後に、この本を読んで、新たに「気付いたこと」「感じたこと」「学んだこと」などを聞きます。その子供の言葉を通し、子供の可能性について新たな発見があるかもしれません。

MEMO

この対話の部分は、本を読んだ子供の頭の整理に効果的です。この時大事なのは、「聞き手は聞き役に徹する」ということです。子供の感性や考え方を養うことが目的なので、「正しい」とか「間違っている」といった視点での対話よりも、子供自身も気付かなかった心のうちの言葉を引き出してあげることに重点を置くことが大事です。

文のまとまりに気を配って、実際に書いてみる

対話を通して、子供は何を書いたらいいのかが何となくわかってくるはずです。後は、原稿用紙に向かって、頭の中のイメージを言葉に綴っていきます。

原稿用紙を正しく使うことは大切です。例えば、「最初の1行に題名(タイトル)を書き、次の行に氏名を書く」「段落の書き始めは一ます空ける」など基本的な決まりはありますが、細かいルールは、学校の先生の指示を守って書いていきます。

段落のつけ方は、文のまとまりを意識します。大きくは、「書き始め」「なかみ」「むすび」に分けられますが、その中でも、文のまとまりで段落を付けると読みやすくなります。紹介した感想文のオーソドックスな書き方では、「あらすじ」「感想」「むすび」で大きなかたまりですが、その中でも、いくつかの段落に分けることができます。

MEMO

作文における題名は重要です。読む人は題名を見て、その作文の中身を想像します。だから、中身を要約した題名だと、読む人は「ピン」とくるはずです。しかし、題名ですべてを語ってしまうと、「読まなくてもわかる」という結果になってしまいがちです。興味を引きながら、中身を読みたいと思わせる題名がベストです。一つではなく、いくつも候補を考えてみると、言葉使いの良い練習になるでしょう。

まとめ

読書感想文を書くことは、モノの見方、考え方を養う上で重要です。しかし、実際には読書感想文の書き方を習う機会は少なく、たいていは夏休みの宿題に出される程度です。読むことと、書くことは学習の基本で、極めて重要です。

社会人になっても、読み書きは最も必要とされる能力のひとつです。読むこと、書くことが好きになれば、世の中に役立つ人間としての力を磨くことにつながるはずです。