ライターが押さえるべき会見やインタビューのカメラ撮影のコツ

コンテンツの中で、画像の果たす役割は重要です。紙メディアでもwebメディアでも、真っ先に目に飛び込んでくるのは、写真画像や見出しです。ライターが取材に出かけるとき、プロのフォトグラファーが帯同してくれる時は心配ありませんが、予算の都合でライターが撮影も担当しなければならないケースもあります。撮影の基本テクニックを心得ておくと安心です。

取材現場に着いたら、撮影ポジションを考える

カメラのデジタル化によって、カメラの性能が写真の優劣を決める場面は少なくなっています。撮影者の腕前によっては、写真の優劣は出てきますが、それをカバーするには良いポジションを確保することが重要になります。

取材会場に着いたら、まず撮影ポジションを確認します。取材が許可された範囲内で、どの場所から撮影すれば、良い構図で被写体を捉えることができるのかを考えます。腕の良い撮影者でも、ポジショニングを確保できなければ、良い写真を撮るのはハードルが高くなってしまいます。

ポジショニングを決める際、以下の点に配慮します。

  • 適度な明るさを確保できるのか
  • アングルを変えることができるのか
  • 近すぎたり、遠すぎたりしないか
  • 場所の移動は可能か

記者会見での撮影の準備

メディアを大勢集めて開かれる記者会見の場合、テレビ局などのムービーは全体が見える後方に、スチール写真は前方に配置されることが多いです。

カメラ撮影者の同行がなく、ライターがペンとカメラを兼ねるときは、ライターとして会見での模様をよく聞くことは重要です。しかし、会見の記録に集中していると、シャッターチャンスを逃してしまうリスクが大きくなります。

最近は記者会見の最後に、撮影用のフォトセッションが設定されます。登壇者が並んで握手したり、ポーズしたりするので、この時にしっかり撮影することが重要です。

できれば、事前に編集者とどういった写真を何枚程度使うのかを打ち合わせしておくと安心です。会見の内容が事前にわからない場合も少なくありません。「ふたを開けてみると、大きなニュースだった」ということもあるからです。

MEMO

用意周到にしたい人は、ペンよりもカメラ撮影を優先したほうが無難です。会見の内容はボイスレコーダーで記録し、後で確認することができますが、シャッターチャンスを逃すと取り返しがつかないからです。

記者会見での撮影ポジションの選び方

記者会見などのイベント取材の撮影は、大勢のメディアが集まる中での撮影になります。以下のような事柄を考慮して、カメラを撮影するポジションを選択します。選択肢としては、大きく分けて二つです。

ポジション変更が難しい場合は「最前列」

アングルを変えて、複数の構図の写真を撮影するのが基本ですが、会見場所によっては自由に動けるスペースが確保できなかったり、動くことが禁止される場合があります。その場合は、他のカメラ撮影者の後ろ姿がレンズに映り込まないようにできるだけ最前列のポジション取りを考えます。

ある程度のポジション変更が可能な場合

動き回って撮影できる場合は、出入りがしやすい場所に拠点を設け、会見の場面ごとに被写体の正面、右、左側にそれぞれポジションを取って撮影します。

MEMO

会見のスケジュールを事前に把握しておき、例えば、メーンスピーカーのプレゼンテーションや重要な局面では最前列をキープできるように考えます。

大事な会見では、スケジュールが直前に配られることが多いので、早めに現場に到着して、撮影プランをたてよう

インタビュー取材の撮影の基本

インタビュー取材の場合の撮影についても、カメラ撮影者が同行しない場合には、ライターが撮影も行うことになります。

ライターが聞き手となってインタビューをする場合は、話を聞きながら撮影をすると、なかなか良い写真が取れません。「二兎を追う者は一兎をも得ず」のことわざ通り、撮影のことを気にしすぎると、インタビューで相手の話をうまく引き出すこともできなくなってしまいます。

インタビュー取材はできるだけ、2人で取材に訪れて、一人が話を振っている間に、もう一人が撮影するようにします。

インタビュー取材は、被写体の表情が勝負です。さまざまな話を振ったときに、目を輝かせたり、笑顔を見せたり、真剣なまなざしを向けたり…。インタビューは生き物です。あらかじめ質問内容を打ち合わせたとしても、話の流れによって、記事の見出しが変わってきます。どの表情の画像がフロントページを飾るのかわからないので、たくさん撮っておくのが良いでしょう。

MEMO

どうしても、ライターが1人で取材と撮影をしなければならない場合は少なくありません。その時は、インタビューを終えた後で、撮影タイムを設けます。インタビューで言い足りなかったことや、雑談などをして、その時の表情を狙います

撮影タイムでは、取材対象側の人でもいいので、第三者に雑談に加わってもらうと、自然な表情が取りやすいぞ

取材現場の撮影で、あると便利なモノ

プロのカメラマンでない人が、取材現場で撮影しなければならない時に、何が必要なのかといった疑問にお答えします。

どんなカメラを使ったらいいですか?

今はスマートフォンのカメラ機能も向上していますが、記者会見やインタビューなど、プロの仕事で撮影する時は、一眼レフを持っておいた方が良いでしょう。

 

望遠レンズは必要ですか?

撮影現場ではスポーツの撮影などを除けば、被写体に接近したポジションで勝負することが多いです。望遠レンズよりも、広角レンズが必要になる場面が多いかも。被写体に接近できないような撮影では、望遠は必要です。

 

脚立を使って撮影しているカメラマンをよく見ます。

ユニークな構図を撮る場合には、アングルを付けると写真に奥行きが出ます。そうした時に便利なのは、脚立です。脚立の上からだと、普通の人間の視野とは違った角度で写真が取れます。最前列のポジショニングに失敗した場合にも、脚立があると後ろから撮っても前の人の後頭部が入り込まないので便利です。落ちてケガをしないように注意が必要です。

 

フラッシュ/ストロボは必要ですか?

一眼レフに内蔵しているフラッシュの場合、目が赤く光ってしまう「赤目現象」になりやすいです。光の角度を調整できるフラッシュ/ストロボを持っておくと便利です。

まとめ

ライターが撮影する写真は、あくまでもコンテンツの素材のひとつです。芸術作品を狙って取るのはリスクがあります。素材を見る人のインパクトを意識することは必要ですが、被写体のありのままの姿を忠実に撮るという基本を忘れてはいけません。

カメラ撮影者としてもプロフェッショナルを目指す場合を除き、良い写真を撮ろうという意欲は大切ですが、まずは失敗しないことが大切です。

最後に私が経験した失敗例をご紹介します。

  • メモリーカードが入っていなかった。
  • バッテリーが充電途中で切れた。
  • ピント合わせが知らない間にマニュアルに切り替わっていて、ピンボケ写真が続出した。
  • フラッシュが正面から当たりすぎて、赤目になったり、影ができたりした。
  • 記者会見で前の人が突然立ち上がり、シャッターチャンスを逃した。

失敗例を挙げるときりがありません。しかし、フィルムの時代と比べると、失敗はずいぶん防げるようになるました。バッテリーやメモリーカードなどは事前の準備をしっかりしておくことが大事です。予備があると心強いです。また、デジタルカメラは撮影したその場で素材を確認できるので、こまめにチェックすることが大事です。