箇条書きのコツを取得し、伝わるコンテンツをつくる

長い文章がぎっしりと書き込まれていると、読む側は肩に力が入ってしまいます。コンテンツの中に箇条書きや表を適所に配置していると、文章の要点や内容を理解するうえで助けになります。

箇条書きで言いたいことを整理する

コンテンツの中の箇条書きや表の役割は、そこに書かれている内容を整理整頓することです。読者は長い文章を読むとき、要点や文章構成を理解しようとします。箇条書きや表があることで、読者のストレスを緩和することが可能になります。

箇条書きにすれば、必ず読みやすくなるわけではありません。読者は箇条書きを読むときに、何かしらのルールを探します。何の規律もなく、単に言葉を並べているだけでは、かえって読者を混乱させてしまいます。

箇条書き項目の階層(レベル)を合わせる

箇条書きは物事を整理整頓するために世界中で活用されています。英語では「bullet point」などと言います。bullet pointは「弾丸の点」と言う意味で、資料の箇条書きの先頭にあるかざり「・」のことです。

箇条書きをするときには、「統一感」が大事です。そのためには、同じ種類のもの同士を「弾丸の点」で並べるようにします。

ケース1
日本企業の強みは勤勉な国民性にあります。規律を重んじ、高品質の製品を世に送り出してきました。これに対し、アメリカ(アメリカ合衆国)企業の強みは多様性の尊重です。異なる考えの人たちが自由な発想を持ち、新しいサービスを送り出してきました。一方、欧州企業は、地球環境保護に関する規制など、厳しいルールを課し、それを守ることで、新しい技術を開発しています。

ケース1は、世界の企業の強みや業績について書かれた文章です。これを箇条書きにしてまとめてみます。

  • 日本企業の強みは勤勉な国民性である
  • 日本企業は高品質の製品を世に送り出した
  • アメリカ企業の強みは多様性の尊重である
  • アメリカ企業は自由な発想で新サービスを生み出した
  • 欧州企業は厳しい規制を守ることで新技術を開発した

まず、箇条書きの主語の中で、階層が違うものがあります。それは「欧州企業」です。
「日本」と「アメリカ」は国です。これに対し、「欧州」は、「アジア」や「北米」などと同じ地域を示します。

欧州とひと口に言っても、ドイツ、フランス、イタリアなどの国が集まる経済圏を指しており、「日本」や「アメリカ」と並列に並べるには多少違和感があります。この場合、言葉の階層(レベル)を合わせるために、欧州をフランス企業にしてみます。

欧州企業は規模しい規則を守ることで、新技術を開発した。
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フランス企業は厳しい規則を守ることで、新技術を開発した。

MEMO

箇条書きの統一感を守るには、言葉の階層(レベル)を合わせる前に、種類が同じであることが前提です。
例えば、好きな果物を並べます。

  • リンゴ
  • ナシ
  • メロン
  • トマト

この場合、トマトが果物ではなく、野菜に分類されるため、統一感を損なってしまいます。

箇条書きをグループ分けして整理する

箇条書きに統一感を持たせるためには、それぞれの項目が、同じ種類同士をまとめることが重要です。箇条書きにタイトルを付けてみて、同じ種類かどうかを判断します。

例えば、ケース1の箇条書きで試してみます。

  • 日本企業の強みは勤勉な国民性である
  • 日本企業は高品質の製品を世に送り出した
  • アメリカ企業の強みは多様性の尊重である
  • アメリカ企業は自由な発想で新サービスを生み出した
  • フランス企業は厳しい規制を守ることで新技術を開発した

5つの項目を表すタイトルとして「主要国の企業の強みとその業績」とします。すると、5つの項目には、「強み」と「業績」が混在していることが分かります。以下のように整理してみます。

主要国の企業の強みとその業績

【強み】
・日本企業は勤勉な従業員を抱えている
・アメリカ企業は多様性のある従業員を抱えている
【業績】
・日本企業の製品は高品質である
・アメリカ企業は新しいサービスを生み出している
・フランス企業は新しい技術を開発している

かなり整理されました。ただ、フランス企業の項目だけ、【強み】が欠けていることが分かります。

フランス企業に関する項目を2つに分けると

・フランス企業は厳しい規制を守っている
・フランス企業は新しい技術を開発している
あえて分けるとすると、厳しい規制を守っていることが【強み】で、新しい技術を開発していることが【業績】になります。

ただ、厳しい規制を守ることが【強み】と言うには、違和感があるかもしれません。その場合は、【強み】の3つの項目を言い表すのにふさわしい言葉を考えます。この場合、【特徴】としてみます。

【特徴】
・日本企業は勤勉な従業員を抱えている
・アメリカ企業は多様性のある従業員を抱えている
・フランス企業は厳しい規制を守っている

箇条書きで、自分の文章の欠点を探す

箇条書きにすると、自分の文章に欠けている部分が浮き彫りになることがあります。ケース1の場合は以下の改善点がみつかりました。

  1. 欧州企業ではなくフランス企業とすること
  2. フランス企業の【強み】についての考察(記述)が不足していること

(1)では、階層を合わせるために、「欧州」という大きなくくりの地域から、フランスという国に変更しました。この時、そもそも、主要国の企業についての文章を書く場合、「日本」と「アメリカ」と「フランス」だけでいいのか、中国なども入れるべきなのかなど、文章構成について再考する機会を持つことができます。

(2)では、文章のテーマが「主要国の企業の強みと業績」としたい場合には、フランス企業の【強み】について、再考しなければなりません。ここでも、文章構成の欠点を見つけることができたわけです。

箇条書きのキーワード選びに注意を払う

読ませるコンテンツを作る場合には、箇条書きのそれぞれの項目に使う言葉選びにも注意を払う必要があります。

webサイト向けのコンテンツの場合、文章のエッセンスを要約している箇条書きの項目は、見出し(タイトル)をつくるときと同じ要領で、適切なキーワードを選ぶことによって、読者の関心を引くことが期待できます。

タイトルの付け方を知りたい方はこちら。

箇条書きを整理し、表にまとめる方法

箇条書きの項目を整理して、表にしてまとめると、理解が進みやすい場合があります。ケース1では、主要国の企業の強みと業績をテーマにした文章を箇条書きにまとめました。

【強み】

  1. 日本企業は勤勉な従業員を抱えている
  2. アメリカ企業は多様性のある従業員を抱えている
  3. フランス企業は環境保護意識の高い従業員を抱えている

【業績】

  1. 日本企業の製品は高品質である
  2. アメリカ企業は新しいサービスを生み出している
  3. フランス企業は新しい技術を開発している

箇条書きを表にまとめると以下のようになります。

主要国の企業の強みと業績

国名 強み 業績
日本 従業員が勤勉 高品質な製品を生産できる
アメリカ 多様性のある企業風土 新しいアイデア、サービスを生み出す
フランス 環境意識が高い 規制をクリアできる技術を開発できる

まとめ

コンテンツのテキストを書くものにとって、箇条書きの技術は強力なツールになります。自分の言いたいことをまとめるのに役立つうえ、読者にもそれを明確に伝えることができるからです。

箇条書きの技術は、プレゼンテーションや資料作りなどのビジネスシーンにも重要であるほか、学生がリポートや論文をまとめるのにも役立ちます。