文章を書くときは、同じ言葉を何度も使うと、幼稚に見えてしまいます。2度目以降に出てくる単語を省略したり、同じ意味の別の単語で言い換えるなどの方法で重複を避けることができます。
主語の「私」が文章中に何度も出てきてしまう
学校の宿題で出される作文や読書感想文などで、やってしまいがちなのが、「私」の乱用です。自分の体験や考え、感想などが文章のテーマなので、「私は思った」「私は経験した」などのフレーズを多用してしまいます。こうした場合は、なるべく、主語の「私」を書かずに表現するようにします。
例文1
この例文の中には、5つの文があり、そのうちの4文の主語は「私」で、1文の主語が「友人」です。同じ単語が主語として、何度も繰り返されると、文章がくどくなってしまいます。(1)の文の「私」があれば、(2)、(3)の「私」はなくても意味が通じます。(4)で「友人」が主語になり、(5)で再び「私」が主語に戻ります。
例えば、こんな感じで…
私はアニメ映画「〇✕の逆襲」の原作本を読みました。この本を読もうと思った理由は、劇場で公開されたアニメ映画が大ヒットしたからです。映画はまだ見ていません。友人は、先に原作本を読んでしまうと、ストーリーが分かってしまって、映画を見る楽しみが半減すると言います。しかし、私は、本を読みながら、頭の中でイメージを膨らませることが好きなのです。
または、4文の「私」がなくても、この文を書いている筆者である「私」の意見として、意味は通じます。
アニメ映画「〇✕の逆襲」の原作本を読みました。この本を読もうと思った理由は、劇場で公開されたアニメ映画が大ヒットしたからです。映画はまだ見ていません。友人は、先に原作本を読んでしまうと、ストーリーが分かってしまって、映画を見る楽しみが半減すると言います。しかし、本を読みながら、頭の中でイメージを膨らませることが好きなのです。
ボキャブラリーが乏しくて困った!語彙力を鍛えることが大事
同じ意味を表す言葉はたくさんあります。しかし、文章を書いていると、同じ言葉を使ってしまいがちです。外国語の文章でもそうですが、同じ言葉を立て続けに使った文章よりも、同じ意味を表す他の言葉を適切に使った文章のほうが好まれます。ふだんから語彙を増やしておくことが大事です。
文章を書いていて、適切な言葉が思い浮かばないときは、類義語の辞典などが役に立ちます。辞書を引いて、適切な言葉を探し、例文を参考にして、使い方が間違っていないかを確認することができます。
例文2
この場合、「低下」という言葉が4回出てきます。1段落に2回程度ならよくあることですが、4回は多すぎる印象があります。類語辞書を引いたり、インターネットのキーワード検索を利用するなどして、「低下」に代えて使うのに適切な言葉を選びます。
例えば、こんな感じで…
日本の経済力が落ち込んでいます。GDP(国内総生産)成長率は伸び悩み、経済大国である米国や中国との差は開く一方です。企業の国際競争力も凋落しています。株式の時価総額のランキングも低迷しており、コンスタントに上位に入る日本企業は数えるほどになっています。
例文3
この場合は、同じ「環境問題」を表す内容でも、それをさらに絞り込み、適切な言葉を探すことで、繰り返しを避けることができます。
レジ袋の有料化は、地球環境の中でも「海洋汚染」の問題に対処したものであり、ガソリン車は「大気汚染」や「地球温暖化」の問題に対処しようとするものです。
例えばこんな感じで…
地球環境保全への関心が高まっています。プラスチック製のレジ袋が海を汚すことを防ぐため、レジ袋が有料化され、エコバックを持参する人が増えています。今後は、大気汚染を悪化させるガソリン車ではなく、電気自動車や燃料電池車などのエコカーを選ぶ人も増えそうです。
まとめ
より上品な文章を書くためには、たくさんの言葉を知っていることが大事です。日ごろから、言葉に関心を持ち、語彙を増やすようにすることが上達の早道です。それでも、文章を書くときに、適切な言葉が思い浮かばないことがあります。その時は、辞書を引いたり、インターネットで調べるなどのひと手間を加えるようにします。