「新聞の作り方」講座 第2回 編集会議で話し合うこと

新聞作りを学ぶことは、表現力やコミュニケーション力を養うことにもつながります。新聞作りで必要なことは、その新聞の特徴を知り、どのような領域に関する記事を載せるのかを把握することです。

そして、その範囲の中で、自分たちは何を伝えたいのかを話し合い、決めることです。学校で新聞を作るケースを想定し、編集会議の様子をのぞいてみましょう。

編集会議のやり方を決める

新聞社は、会社ですので組織があり、人事があります。取材をしたり、記事を書く組織のことを編集局と言います。その中に、社会部や政治部、経済部、運動部、文化部などカテゴリーごとに部門があります。

編集会議は各部の代表者が出席し、記事の予定説明し、最終的に編集長が1面トップ記事などを決めていきます。

学校新聞は、新聞部などの専門に活動している部活動のグループがあり、学校の出来事に関する記事を書いていきます。

今回は、クラスの授業の中で、グループに分かれて新聞を作るという想定で編集会議を開きます。1グループ5人程度に分かれ、5人の記者が取材し、1ページ分(1面)の記事を書きます。

編集会議は、さまざまなやり方があっていいと思いますが、今回は、5人の中から編集長役を決めます。そして、残り4人の記者(編集長も記者として発表する)が、どのような記事を書きたいのかを説明します。

そして、どの記者が出した案を1面トップにするか、2番手の記事にするか、などを選びます。この時、多数決にするのか、編集長に一任するのかなど、決定の方法をあらかじめ決めておくといいでしょう。

編集会議を始める前に

編集会議の前に、この授業で作る新聞が、どのような新聞であるのか、そのテーマについて確認しておきます。新聞には一般紙や業界紙、団体の機関紙など、さまざまな種類があり、それぞれの目的のために新聞を発行しています。

一般紙は世の中の出来事を幅広く取り扱いますが、業界紙は特定の産業の中での出来事を中心に紙面を作ります。例えば、自動車業界の専門誌であれば、自動車業界のニュースを中心に扱うので、アパレル業界で起こったニュースがどんな大きなニュースであっても、取り扱わないケースがほとんどです。

今回の授業で行う新聞作りでは、それぞれのグループごとに、どのような新聞にするのかを決めます。記事として扱う領域と、扱わない領域について、話し合って決めます。

例えば、地球環境問題をテーマに選んだ場合、ゴミのリサイクルや省エネルギーの取り組みなどについては扱いますが、インターネット上での人権問題といった関係の薄い領域は、記者が興味を持っていたとしても、扱いません。

修学旅行で訪れる地域のことについて紹介する新聞にする場合は、他の地域の紹介記事は扱わないようにします。

ただ、授業の目的は、新聞を作ることであり、新聞を通じて表現力を高めることに絞るのであれば、あえてテーマを絞る必要はありません。それぞれの記者が書きたい記事を書いて、説得力のある記事から大きく載せていくのもいいでしょう。

一方、記者として、書いてはいけないこと、やってはいけないことについても確認しておきます。新聞社でも、記者の行動指針などを定めていて、不偏不党や、人権の尊重などは、守らなければならない基本です。クラスの新聞でも、特定の人を傷つけるような記事は決して書かないことを確認します。

記者のプレゼンテーション

次に、それぞれの記者が自分の記事案についてプレゼンテーションします。記事のテーマを示し、どのような内容になるのか、取材の方法、その記事によって何を訴えたいのか、について説明します。

例えば、Aさんの記事案です。

記事テーマ「レジ袋が有料化になった理由」
  1. 内容
    「レジ袋が有料になった背景には、プラスチックバックの海洋投棄の問題があります。生態系への影響や海洋汚染などの影響を紹介し、レジ袋有料化によって、これらの課題が解決できるのかどうかを考えます」
  2. 取材方法
    「図書館の書籍や新聞、インターネットのウェブサイト(環境庁、自治体の広報誌など)
  3. 訴えたいこと
    「一人ひとりの環境保護への意識を高める必要がある」

1面の計画表をつくる

全ての記者がプレゼンテーションを終えたら、紙面の計画表をつくります。どの記事をトップ記事にするのか、原稿のほかに、写真や表・グラフ・地図などの素材を入れるのか、などについて検討します。

編集会議の結果、記者全員にそれぞれの記事を書いてもらうのか、もしくは、プレゼンテーションの結果、1面トップに選ばれた記者が考えたテーマをもとに、解説記事や論説記事、グラフなどの素材の作成などを手分けして行うのかなどについては、指導する先生があらかじめ決めておくといいでしょう。

計画表のサンプルです。

2年B組きらぼしグループ きらぼし新聞の紙面計画表
  1. 1面トップ記事
    「レジ袋が有料化になった理由」
  2. 本記(骨格の記事)
    レジ袋減らし、青い海を守ろう 1000文字 写真
  3. 解説記事
    プラスチックバック投棄、生態系を壊す 800文字 生態系の図
  4. 論説記事
    ゴミの分別意識を高めよう 800文字

まとめ

記者になったつもりで、新聞作りを学ぶことによって、社会問題への関心が高まり、解決方法について考える意識を育てます。さらに、自分の考えをわかりやすく読み手に伝える能力も養うことができます。

編集会議では、自分が持っている問題意識やその表現方法について発表し、他の記者のプレゼンテーションにも耳を傾けます。このような議論への参加によって、考える力はより高まり、知識や問題意識も広がります。編集会議では、誰の記事をテーマに選ぶかの課程がうまくいかずに時間がかかってしまう場合も考えられます。

その時は、指導教官である先生が、助け船を出し、グループ内の記者の理解が深まるような運営を心がけることが大事です。